高橋ビル
商業空間をプロデュースする

近鉄奈良駅から北へ、奈良女子大へ向かう花芝町商店街がある。クライアントは何代も薬局を営み、奈良では老舗であったが、状況の変化でやめることになった。敷地には、立派な土蔵と茶室がある。
 これらとバランスを取りながら、上部は住居で息子さんたちが住む。下部は商業店舗の計画である。私たちはテナントビルを設計依頼されたら、できるだけ店舗も自分たちでプロデュースするようにしている。このテナント部を切り離した業務は、建築デザインの意図と商業空間のニーズが互いにかみあわぬまま、まずい結果に終わる場合が多い。したがって、設計コンセプトと入店のことなど細かなルールをまとめた契約書までをこちらでまとめる。実際テナント誘致業務は大変なもので、一区画でも10社以上の会社のトップに会ったり、先方の店を見せてもらったり、右往左往することが多い。そんな中でようやく、一致をみた方との契約になるが、それまでのプロセスはかなり大変である。しかし、建物が理解され、互いに納得したうえでオープンする状況を見るのはいいものである。今回は計4区画を扱った。